韓国映画「 パラサイト~半地下の家族」を観ました。
前情報全くなしで簡単なあらすじだけ読んで観てしまったので、なんというか、どぎつかったです^^;;
第72回カンヌ国際映画賞の「最高賞」であるパルムドールを受賞した作品だと後で知って納得しましたが、この映画、確かに予想もつかない驚きの結末でした。
あらすじ
全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。
長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。
そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが…この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく――。
レビューなどでは「最高にエキサイティングだった」「最初から最後まで目が離せなかった」といった絶賛、賞賛のレビューをたくさんみかけました。
確かに観終わった後、『内容について誰かといろいろと語り合いたい!ここはどうなんだとかああいう意味なんだとか感想を言いたーい!』となる映画でした。
面白かったのは確かにそうなんですけど、賞賛や、韓国のみならず世界の貧困問題への提起とかそういった感じではなく、私がところどころ感じた主人公たちの違和感やつっこみどころを吐き出したいのでそういったただのつぶやき程度のことをつらつらと書いています(^^)/~~~
※壮絶にネタバレしていますので気を付けてください。
◆パラサイト~半地下の家族~感想
実は最初は題名と簡単なあらすじだけ見て、『ブラックコメディものかな?』なんんて思っていました。
悲喜劇って書いてあったし・・・
物語の最初は、半地下に住む貧乏家族4人の長男、フリーター浪人生のギウ(多分23・4歳くらい?)が、
『無料Wi-Fiが使えなくなった!』
と家の中で使えるところを探した結果、(半地下のため排水の関係で祭壇のようにお風呂よりも上にある)トイレの近くなら入る!と大喜びしている・・・といった場面から始まります。
雑然として散らかり、汚い半地下の家・・・
父、母、主人公、妹の4人とも薄汚れた服・・・
インターネット回線もフリーwifiに頼るしか無いくらいお金がないんだな・・・と、
貧困さをそこはかとなく感じさせる場面から始まります。
家族4人(母・父・息子・妹)全員が失業中(!)で、バイトしたくとも断られ、ピザ屋の箱折りの内職でなんとか日々をしのいでいる風景や、
半地下の家なので、酔っ払いのおっさんのおし●こしているところが丸見えだったり・・・貧困失業家族の日常が淡々と描かれていくんですが、それでも家族4人の仲は悪くありません。
皆で協力して内職していたり、給料が入り喜びながら4人そろってご飯を食べている様など、割とほのぼのしている描写も多々あり、悲壮感溢れたり、無駄に暗かったり・・・といった感じではありません。
そう、序盤は!
嘘から始まる悲劇・・・
そんなある日、4人家族の長男であるギウが、友人ミン(イケメン大学生)に、ミンが受け持っている家庭教師の代わりをお願いされるところから、この家族4人の運命の歯車が予測もつかないところへ回っていきます。
(※余談ですが・・・
(この貧乏家族の長男ギウ、兵役(2年)に行く前に2回、そして兵役に行った後に2回、大学受験に失敗中という経歴なので18歳から6年は経っていると予想して23・4歳くらいなのかな??)
友人ミン(イケメン)が半年間の留学に行く間、超お金持ちの娘ダヘ(高校2年生)の家庭教師の代わりを長男ギウにしてほしいということだったのですが、
(ミンはこのお金持ちの娘が好きなのです)
ここで色々とつっこみどころが。
・そもそもなぜ大学生でもない浪人フリーターのギウに代わりを頼んだの???
・他の大学生の友人たちに頼めば?という
ギウのまっとうな問いかけに、
「あんな飢えた狼たちに頼めない」「おまえは信頼できるから」
とミンは答えていましたが、女性に頼んだほうが確実だよね。ギウを大学生だと嘘をついて紹介するくらいなら、何故そうしなかったんだろう???
・『奥さまに気に入られている自分の紹介だから、大学生だと嘘をついてもばれない』
ので大丈夫だのなんだのミンは言っていますが、自分が惚れた女の子に他の男を近づけたくないから、大学生でもないギウ(男っぽくないし一見無害そう)に頼むって、信用しているというより見下しているんじゃないかなあー。
なんでそういう思考回路になるの???嘘と無計画
まあそんなこんなでギウはソウル大学生という嘘の在学証明書を妹のギジョンに作成してもらい、面接を受けに行きます。
よれよれの服からちょっと綺麗なスーツに着替えたギウ、やはり元がいいのでかっこよくみえます。
そしてまあ、面接は淡々とすすむのですが・・・
とりあえずどんな授業をするのか見たいといった金持ち奥様に、ギウはけっこうなハッタリをかまし、金持ち奥様のみならず、金持ち娘ダヘの気をも惹いてしまいます。
そしてなーんと!
金持ち娘ダヘはギウを気に入ってしまい、出会って間もないというのに若い2人はあっさりとキスしてしまうというー
おいおいギウおまえ、友人ミンがダヘのこと好きだって知ってるよねー??いつもヘラっと笑って人が良さそう・・・て感じだったのにそんなにあっさり裏切るのねー??
そして、
『どうしてそんな思考が出てくるの!?!?』
という私にとって一番のつっこみどころが、
金持ち家族の末息子であるの絵画の家庭教師として、妹のギジョンを紹介するところ!
いやいや待て待て、半年後にはミンが短期留学から帰ってくるよね??
自分が嘘ついて家庭教師しているから、ギジョンも大丈夫って感じ?ミンも黙ってくれるだろうっていう目論見??いくら金持ち奥様がちょろいって言ってもそれはやり過ぎというよりも後先のこと考えなさすぎでは???
頭の中はこんな突っ込みが溢れ出ていました。
そしてそして、ちょっと端折りますがなんやかんやで貧乏家族の家長ギテク(ギウ・ギジョンの父親)が金持ち一家の家長、パク社長の運転手に収まり、(元の運転手は娘ギジョンの策略によって追い出された)
ギテクの妻(ギウ・ギジョンの母親)が金持ち一家の家政婦に収まります。(元の家政婦も策略によって追い出された)
とんとん拍子に騙され過ぎて金持ち奥様、心配通り越してあほなんちゃうか、と。(思わず関西弁)もっとなんかこう・・・警戒心持とう?警戒心もって調べよう!?!?て言いたい。
でも現実的にはいろんなこと調べてくれる探偵みたいな秘書みたいな人いないし、『信頼している人の知り合い』、ってそれだけで「この人は大丈夫」だ、と信頼してしまうのもすごくリアルで分かるんですけどね・・・。
嘘と無計画と楽観的過ぎるギウ一家
こうしてギウをはじめ、まんまと家族4人、金持ち一家の家に就職してしまいました。パラサイトしてるゥ~
そして金持ち一家4人が末息子の誕生日に泊りがけのキャンプに行くことになり、貧乏家族4人はここぞとばかりに金持ち家族の豪邸で遊びまわり、リビングで酒盛りを始めます。
もうこれ、金持ち一家が帰ってくるフラグ立ちまくりだよね・・・と分かっていてもそのハラハラ感がたまりません。
そしてその酒盛りの場でギウが、『一体その楽観的思考はどこから来るのか…』、といったことを話し始めます。
うろ覚えなのですが、
「頑張って大学に合格して本当の大学生になる。そうすればダヘ(金持ち家族の娘)とも堂々とつきあえる。」
みたいなことを言っているんですよね・・・。その言葉を受けて母親や妹も、
「え!じゃあ金持ち一家と親戚になるの??」
「まああの子は可愛いしすれていないし、いいかもね」
なんて言う始末。
だれが大学生だと嘘ついてた男に娘を嫁がせたいと思うのか。
そしてもしうまくいったとしても家族との対面どうすんの???両親に会わせられないよね??何その夢見がちな考え・・・
(ギウ『両親紹介や結婚式なんかはお金払って代理両親を頼めばいいよね』、とか言ってるあたり、楽観的というか深く考えなさすぎ浅慮にもほどがある・・・
親戚付き合いが密な韓国において、その場はそれでしのいだとしても、その後のお盆やら正月やらお互いの実家の行き来はどうすんの??それはありえないのでは?といちいちそういったことが気になってしまう)
そしてこの後、衝撃的なラストへとスパークしていくんですけど、そのあたりは割と思い出したくないので割愛して(ナニ)
『計画を失敗に終わらせないためにはどうすればいいか分かるか?』
半地下の家族4人のその場しのぎの考えを象徴する言葉があって、割と追い詰められた状況の時に貧乏家族の父ギテクが、息子ギウに「計画を失敗に終わらせない方法を知っているか」みたいなことを聞くんですけど、その父の答えがある意味衝撃的でした。
「計画を失敗に終わらせないためには、計画をたてなければいい。計画をたてなければ失敗のしようがないから」
エッ・・・???な・・・んんん???
・・・アッパ・・・アボジ・・・一瞬、深いなんて思っちゃったけどいやいやいや、計画たてずに浅慮の極みをつくしてきたから、今そんな追い詰められた状況になっているんだよね・・・???
物語が始まるためには
確かに、いろんなことを考えさせられる映画でしたが、私は上に書いたような点、多分皆がそこまで注目していない点が気になって気になってたまりませんでした・・・
結論・・・
結局、最初についた嘘が悲劇の始まりで、でもそういった過ちがないと、物語やドラマって始まらないんだよなあ・・・と。
たぶん絶対に見どころはそこではないんですけど、嘘や過ちがあるからこそ物語が生まれるんだな、という至極どうでもいい感想で終わらせたいと思います。
面白かったです。
日本での公開は2020年1月10日(金)に決定したそうです。
映画館で観たら迫力あるだろうなあ・・・。